今回は、最近激増している「日本人の現地採用」がテーマです。
日系企業の経営層の方にご参考いただけるよう、現地採用需要の背景、課題、面接での確認ポイント、入社後の対策などを考察してみます。
■現地採用需要の背景
経営層の現地採用需要は、おおきく以下の3点に分類できます。
①人件費の抑制
日本から出向の駐在員コストが高いため。
②本社に海外要員が不足
外国人とのコミュニケーションを取れる人材が不足しているかすでに他国に駐在しており、現地責任者や営業スタッフを増員したいため。
③顧客対応で必要
クレーム対応や、品質面の維持、接待要員としてなど、日本人が欠かせないため。
■現地採用の課題
現地採用社員の雇用はメリットと共に募集リスクもあります。
①内定後辞退しやすい
現地法人に採用権があり早いペースで採用を決断しても、家族に相談した結果辞退といったケースがあります。
②再転職リスクがある
駐在員の場合は、現地で転職するという発想が生まれにくいですが、現地採用人材の場合は転職のリスクが生じるため、何らかの離職対策が必要になります。
③条件面の協議が長引く
給与以外の諸手当も重要で、健康保険、家賃補助、一時帰国、通勤手当などの条件面はあらかじめ方針を決めておいたほうが良いです。
■面接時の注意点
上記を踏まえると、面接での確認ポイントは次の三点になります。
①家族への相談有無(特に日本からの応募の場合)
最終段階での内定辞退を防ぐ目的です。ベトナム人と異なり、日本人(特に男性)は両親や家族に相談せず応募することが多いため、将来設計について確認したほうが良いです。
②旅行の仕方(バックパッカー系人材の場合)
ベトナムは祝日や連休が少ないため、旅行に行けないストレスは6か月もすると限界に達します。チャレンジ好きな性格で、ベトナム近隣国への渡航経験がなければ、退職リスクがやや高まると言えます。
③GROSS給与に手当をどこまで含めるか
給与以外の手当で話題に上るのは「健康保険(旅行者保険)」「通勤手当」「住宅手当」「一時帰国費用」の4点です。これらをすべてカバーすると、合計額は少なくてUSD500~USD1,000になります。希望を確認しておく必要があります。
■入社後の対策
日本人同士といえども、適度なコミュニケーションは重要です。
①入社直後
労働許可や滞在許可の申請に関する事務的な作業が多くなります。健康診断の結果からも不安になりやすい時期。ぜひ、心理的な変化がないかコミュニケーションに心がけていただくようお願いします。
②試用期間後
ようやく会社にも慣れてくる頃です。ただし、人脈構築が思い通りに進んでいないなど、会社からの期待に応えようとするあまり力み過ぎて空振りが多くなることもあります。面談等でアドバイスをお願いします。
③半年経過後
旅行が趣味という方が圧倒的に多いため、可能であれば週末等利用して小旅行がお勧めです。また、社員旅行の行先や旅程の提案もしてもらうと良いでしょう。旅行の計画ではプロフェッショナルな人材が多いです。
■まとめ
日本人の現地採用需要は増えています。優秀な人材で長期に働いてもらえれば企業にとっても大きなメリットになります。廣済堂HRベトナムでは、日本人現地採用の募集・採用時のアドバイスを行っています。面接時に注意すべき点、給与相場と提示方法、含めたほうがよい手当、離職対策の方法など、どうぞお気軽にご相談ください。
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2018年5月9日 廣済堂HRベトナム 堀岡宏至