安定をとるか、刺激をとるか。稼ぎ盛りの40代で決意したベトナム移住!

日本の会社で10年以上働いていていると、一定の収入があり、管理職として部下を持ち、生活も安定している、という状態が自然です。このため、海外移住の決意には、その安定を失う可能性があってもいいかという重大な判断が必要です。いずれにしても、最後は自分自身で決めることになります。今回は日本での安定を捨て、刺激を求めて海外移住を決めた女性の体験談を紹介します。

プロフィール

Nさん(40代・女性)
ホーチミン在住
大学卒業後 電気系のメーカーで四年半働く
Web業界に転職 約二十年間その業界で働く
ベトナムで現地採用で就職
フリーランス
外資系の企業で一年間働く
Webデザイナーとしてフリーランスで働く
~現在

日本で20年間Web業界で活躍していました。

Q.ベトナムに来るきっかけは何だったのですか?

ベトナムに来る前は日本で20年間Webデザイナーとして働いていました。Webデザイナーとしては経験もスキルもあったので仕事や生活に困ることはありませんでした。海外旅行が好きだったのでぼんやりと海外で働いてみたいなという気持ちはありましたが、チャンスもないしと思いながら生活していました。20代ではヨーロッパやアメリカに旅行が多かったのですが、30代になると東南アジアに興味がでてきてタイやベトナムなどに頻繁に行くようになりました。物価が安く、英語や現地語ができなくても仕事ができるという情報を見て、海外移住をしたいという気持ちが大きくなり移住を決めました。

Q.ベトナムを選んだのはなぜですか?

最初はタイかベトナムで悩んでいて検討した結果、ベトナムのほうが物価と給料のバランスが良かったので選びました。料理がおいしいことや親日家が多いこともベトナムに決めた理由の一つです。

Q.日本ではWebデザイナーとしてお仕事があったと思います。移住することでそのお仕事が無くなってしまうという不安はありませんでしたか?

全く不安を感じてないわけではありませんでしたが、不安よりも挑戦したい気持ちのほうが大きかったです。収入や待遇については日本と同じようなレベルで働けないという予想はしていましたが、ベトナムの生活水準に変わるので金銭面で困ることはないだろうと考えていました。

またWebデザイナーとして手を動かす仕事をずっとしていきたいと考えていたので、管理職や高い役職に就きたいという願望がありませんでした。なので日本でのキャリアが無くなることについて不安はありませんでした。

むしろWebデザイナーとしてスキルアップしていくために、今と違う環境にトライして刺激がほしいと考えていました。なのでベトナムで働けるチャンスがあるなら日本にこのままいるよりももっと自分にプラスになるんじゃないかなと思いました。

Q.仕事以外での不安はなかったのですか?

不安はありましたが以前ベトナムに来た経験からある程度生活できるなと判断していたので、とりあえず行ってみようという気持ちのほうが強かったです。このまま日本にいても不安が無くなるわけではありませんし、もし合わなければ帰ってくればいいと考えてました。

べトナム就職~移住直後は波乱がたくさんありました。

Q.どのように仕事探しをされたのですか?

ベトナムに行くと決めてから日本の人材紹介会社に登録しました。そこで紹介してもらった会社に就職しました。その会社は日本とベトナムにオフィスがあってベトナムのオフィスでの採用として入社したのですが、実際は日本のオフィスでの勤務になっていてベトナムに行く機会は出張の一回だけでした。ベトナムで働くためにその会社に入ったので、ベトナムにいけないのならと思ってその会社を辞めました。そのあとは派遣として働きながら就職活動を続けて、ベトナムにある日系の会社でWebディレクターとして仕事が決まりました。

Q.どんな基準で仕事を決めたのですか?

ホーチミンで生活したいと考えていたので、ホーチミンに絞っていました。あとはWeb関係であることと、私は英語もベトナム語も得意ではなかったので日本語で仕事ができることを条件にしていました。

Q.日本での仕事経験は就職活動に影響はありましたか?

約20年のWebデザイナーとしての経験があったのでその経歴は生きたと思います。他の人よりお給料は頂いたと思いますが、税金などを引くとやはり手取りは少なくなってしまいました

Q.人材紹介会社ではお仕事を探すときに審査が厳しいと伺いました。それは本当なのですか?

厳しいかどうかはわかりませんが私の場合は、ベトナムへの渡航経験、滞在経験や本当に移住する気があるのかどうかについては聞かれました。しっかり確認されるということは短期間で日本に帰ってしまう人が少なくないからだと思います。それほど異国の地での生活は覚悟が必要で、これから海外で就職したいと考えている人は仕事探しをする上でその国での滞在経験は必須だと考えておいたほうがいいと思います。

Q.ベトナム移住直後の生活について教えていただきたいです。

実はベトナムに来て二ヶ月後に最初の会社を辞めました。その会社は教えてもらった情報と違う点があったり、業務環境が私には合わなくてストレスを感じるようになり辞めることになりました。初めての異国での就職で不安も大きかったなかで環境が自分に合わなかったのはすごくストレスを感じました。なのでお仕事探しは妥協することなくおこなったほうが良いと思います。

そのようなこともあり移住直後の約三ヶ月間はほんとうに貧乏生活でした。スーパーで安い食材を買ってきて毎日自炊していました。違うお仕事ができて安定するまでは外食などの贅沢はあまりしていなかったです。

Q.その貧乏生活のときは日本に帰ろうと考えなかったのですか?

移住前に最低でも一年間はベトナムで頑張ろうと決めていたので帰る気はなかったです。日本に帰るにしてもお金がかかるので、それならもう少しベトナムで頑張ったほうがいいなという気持ちでした。

Q.その後お仕事はどうされたんですか?

しばらくフリーランスとして仕事をしていて自らコミュニティに参加して知り合いを作って仕事を貰っていました。この時期はやりがいのあるお仕事をたくさん経験しました。ベトナムという環境だから生まれるチャンスや仕事にも出会うことができました。そのあとは外資系の企業に一年ほど勤めました。その企業ではWebデザインの仕事ではなく日本側との橋渡し的な業務を行っていたのですが、どうしてもデザインの仕事がしたかったのでその会社は辞めて現在はまたフリーランスでWebデザインのお仕事をしています。

現在ベトナム移住五年目です。

Q.どんな日常を過ごしていますか?

週末にお酒を飲んだり、家で動画を見てリラックスして過ごしています。日本との生活に差は感じないですよ。日本人がいるかベトナム人がいるかだけの差です。娯楽が少ないことはちょっと不満ですが、その分節約になっています。ベトナムに永住するつもりはないのでものを買わないことも節約に繋がっています。そうやって貯まったお金で定期的に旅行に行くことが楽しみです。

Q日本人とベトナム人にはどんな違いありますか?

仕事に関してはベトナムの人は完全に分業制です。仕事が細分化されていて自分の任された作業だけをするといった人が多いように感じます。自分の作業しかしないため引継ぎの際、日本と比べてチェックが甘かったりすることも多々ありました。

日常では”迷惑”に鈍感だなと感じることが多いです。例えば道の真ん中でUターンするのも夜中にカラオケするのも日常茶飯事です。一方で赤ちゃんが泣いていても迷惑がる人はおらず、日本人と比べると寛容な人が多いと思います。良い点も悪い点も文化の違いから生まれているのだと思います。

Q.ベトナムに来て身についたことはありますか?

物事に関して柔軟に対応したり寛容になった気がします。自分の価値観を全面に出すわけではなく違いを受け入れやすくなったと思います。また違いを受け入れることで日本を客観視することができるようになったと思います。日本の文化や価値観ががすべてではなく色々な考え方があるのだという考えを持つことができるようになりました。

これからも挑戦していきたいです。

Q.永住することは考えていないのですね。将来についてはどのように考えていますか?

今は具体的な計画は立てていません。ですが将来別の国に住めたらいいなと密かに考えています。もちろん言語やビザなどたくさんの問題があるので実際にそうなるかはまだわかりません。とりあえず今はもう少しベトナムに滞在しようと思っています。まだまだWebデザイナーとしてのスキルアップをしたいですし、もしチャンスがあれば新しいことを始めたいなとも考えていて、そのチャンスが日本よりもベトナムのほうが多いのかなと思っています。

Q.これからベトナムに来ようと思っている人に向けて一言お願いします。

例えば私は語学が得意ではありません。語学力はあったほうがもちろん良いです。でもベトナムは何とかなる国だと思います。他にも悩んでいることがあるとは思いますが、本当にやりたいことなら勇気を持ってトライしてほしいと思います。

最後に
Nさんの仕事は収入や待遇で差は出るとしても日本でもベトナムでもできる仕事だと思います。でもそのような仕事だからベトナムに来れる、来れないという判断にはならないと思います。違う仕事もできますし、日本でのキャリアが無くなることには変わりないからです。仕事に対する考え方は人それぞれでNさんはキャリアよりもスキルや経験値を高めることを選びました。どの選択があっていて間違っているわけでもないと思います。人それぞれの基準があると思うのでそれぞれの基準で判断すべきだと思います。Nさんは移住直後に多くの困難があったなかでもきちんとした判断のもと覚悟を決めて移住したので、それらを乗り越えられたのだと思います。自らの基準に沿って自分に合った選択をすることがベトナムへの移住を成功させることに繋がるかもしれません。
(廣済堂HRベトナム・取材チーム「担当S」執筆)

参考サイト

・ベトナム人はなぜ親日家が多いのか。

意外なアレがベトナムで大人気!?ベトナムが親日な理由と人気のある日本製品とは?

・ベトナム人と一緒に働くために。

【第1回】日本人はコミュニケーション能力がちょっと?

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